Reality 第五章 サクラ

リアリティ-アイキャッチ

攻撃を続けるうちにボスから自爆の気配を感じた悠斗たち。
急ぎ押し切ろうとするが間に合わず、あわや爆発するかという瞬間、サクラの極大魔法が発動し世界は閃光に埋め尽くされた。

この物語はフィクションです。劇中に登場する人物・名称・技術・解釈などはすべて架空のものです。また、実際に存在する地名・建築物などを使用しておりますが、実在のものとは一切関係はありません。

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現実への覚醒

ディバインピラーの威力は凄まじく、何も感知できなくなってしまった。

しかし、ドリームキャッチャーのシステムメッセージでは、覚醒シーケンスが実行されていることが確認できた。

おそらくサイクロップスを倒すことができ、それによりユートが目覚めに向かっているということなのだろう。

「ゆーくん!良かった~!」

その声で私は目覚めた。
声のする方を見てみると、目覚めたユートに抱き着く女の姿が見えた。

誰??

年齢は…日本人ってこの辺わかりにくいけど、ティーンじゃなさそう。
やや茶髪のセミロング。カワイイ感じの人ではあるかな…。

まだ抱き着いてる。

なんか、ちょっと馴れ馴れしくない?
と、2人の方をムッとしながら見ていると、その女は私の方を向き、

「ゆーくんを助けに行ってくれて、ありがとう!^^」
「イエ…」

あなたにお礼を言われる筋合いがないんですケド。
というか、いい加減ユートから離れたら??

「あのさ、ちょっと苦しいんだけど…」

ユートがようやく口を開いた。

「あっごめんね~ゆーくん。うれしくてつい!」
「そうそう、あなたがエリオット君…本当はエリスちゃんっていうのね!」

なんか一方的に話す人だなぁ…

「ハイ、そうですガ…アナタは?」
「エリスが困ってるよ。自己紹介して。」

と、ユートがうながすと、ようやく彼女は名乗った。

「あら!ごめんなさ~ぃ。私、瀬島桜華といいます^^」

セジマ オーカ?ユートのファミリーネームもセジマよね。

ユートのお姉さん?
でもユートは一人っ子だって聞いてたけど。

「桜華姉、エリスはそれじゃわからないと思うよ…」
「あら、そう~?^^」

「エリス、桜華姉は俺の従姉、それと、」
「サクラで~す!^^」

イトコ…cousinのことね。
ん…?そのあとなんか言ってたような…。



はああああ??!

サクラって、あの、プリンセス?サクラ?
ずっと同い年か、年下だと思ってた…。

「うれしい!若い子に年下と思われてたなんてぇ~^^」

心を読まれた??やだこの人こわい!エスパー??

「なんかいつもエリオット君からは私に対して負のオーラみたいなのを感じてたんだけど~あれってジェラシーだったのね~」

「ゆーくんとあっちの世界に行っちゃうのかと思ってたら、本当はこんなにカワイイ子だったなんてね~^^」

あの…

「ゆーくん、全然彼女作らないから心配してたのよね~でもエリスちゃんならもったいないくらいね~^^」

ちょっと…

「ゆーくんっていつまでも世話のやける弟みたいなのよね~そこがカワイイんだけど。
あと、エリスちゃんみたいな妹も欲しかったの~おねーさんうれしいな~^^」

今度は私に抱き着いてきた…。
タスケテ…


第三のドリームキャッチャー

「ねーちゃん、ストップ!エリスが困ってる」
「えーいいじゃなーい!エリスちゃんとってもやわらかいのよ~^^」

あっ!ちょ、変なとこ触らないで!
ユートが顔を赤くして目をそらしてる…。

何分たったのかわからない。

オーカは私をモミクチャにして、堪能したのかようやく離れていった。
サクラの中の人ってこういう人だったんだ…。

「ア、 アノ…助けにきてくれたノ、サクラ…オーカさんですヨネ?」
「そうそう、間に合ってよかったわ~^^」

やっぱりそうだった。

「デモ、どうやってドリームキャッチャーヲ?ワタシは2つしか持ってきてなかったノニ」
「マックさんのお友達がね~東京にいるらしくて、その人に少し前に渡していたんですって。こういう事態だからってお願いしたら貸してくださったの?」

なるほど。
というかマックさんって誰?あ、マクミラン教授のことか。

「なんかね~ダイブ中のエリスちゃんと連絡が取れないんだけど、エリスちゃんとゆーくんのモニタリング?していたら~」

「何度もEIOってキーワードが出てきていたんだけど~マックさん何のことかさっぱりわからなかったらしくてね~」

「叔母さまにそれを尋ねてきたそうなんだけど叔母さまも知らなくて~ゆーくんと私がよくゲームしてるのを知ってたから~私に話が来て私がマックさんとお話したの~」

「ナルホド。それでサクラがユートの夢ニ」
「そ~ゆ~こと~♪」

教授日本語できないはずなんだけど、よく話通じたなあ…。

「桜華姉は英語ペラペラだよ。外資系に勤めてるし」

とユートが補足してきた。
なんだろう、顔に思っていることが出ちゃっているんだろうか。
気を付けないと…。

「ト、トニカク、助かりましタ。アリガトウ、オーカさん」
「いいのよ~ゆーくんを助けに行ってくれたんだしね~」

「あと、桜華さん、なんて他人行儀じゃなくて、おねえちゃん、って呼んでいいのよ?」
「あ、でもEIOではいままで通りサクラって呼び捨てにしてね♪」

なんか、やりづらいな、この人。
でも彼女のおかげでユートを現実に引き戻すことができたんだし、感謝しないとね。


桜華と悠斗

後で聞いたらユートの夢にダイブしていた時間はほぼ2日間。

若干衰弱していたこともあって1日入院して検査を受け、気が付いたら日本での滞在予定期間の半分を消費していた。

ユートが意識不明だったのは3日間だったので、ユートはもう1日入院するそうだ。

こっちでユートとたくさん過ごしたい、と思っていたけど、体調の問題だから仕方ないよね。でもホテルに戻ってもやることがないなあ…。

と思っていたらオーカさんからメールが来た。

「エリちゃん♪今日退院だよね~迎えに行くから待っててね~♪」

帝王大病院からホテルへの道のりが良くわからないのでありがたいのだけど、いつのまにか「エリ」呼びになっているのがちょっとひっかかった。

教授と話していたからだろうか。
まあ、いいか。あの人のペースに抗っても無駄な気がしてきた。

入院費その他の費用は私の大学の方で支払ってくれたようだ。
教授はドリームキャッチャーの有用性の実証ができたということでホクホクしていたので、この程度の出費は問題ないとのことだ。

ドリーマーが悪夢を見ていた場合、下手するとそのルールに縛られてダイバーにもリスクがあるっていうこともまだ未解決なんだけどね。

だから有用性が実証されたといっても、個人的にはまだ大っぴらにはしたくないな。

「エリちゃん!こっち~♪」

オーカさんが到着したようだ。
彼女は赤いミニで迎えに来てくれていた。

「新宿のロイヤルアネックスで良いのよね?」
「ハイ」
「じゃあ、ちょっと時間かかるし、車中でお話しながら行きましょう^^」

またマシンガントークかと身構えていたのだが、車中での彼女の話はそうでもなく、
小さいころからのユートの話をしてくれて非常に興味深かった。

今ではその面影もないが病弱だったユート。
5歳上だったオーカさんは「この子は私が守るんだ」と大いに保護欲をかきたてられ、世話焼きのお姉ちゃんになってしまったようだ。

小さい頃は入退院を繰り返し、学校に行っても体力の無さからいじめられたりすることもあったユート。

2人は近所に住んでいたため小学校では、オーカさんが6年生、ユートが1年生と同じ学校に通った期間もあり、そのときはユートがいじめられたと知るや否や、いじめ首謀者をかき集めて長時間の説教。

あまりにも迫力がありすぎて、先生方もなかなか介入するタイミングが見えなかったという逸話もあるとか。

それから「ユートをいじめると鬼ねーちゃんがやってくる」という事が子どもたちの間に刷り込まれ、ユートをいじめるような連中はいなくなったらしい。

鬼…オーガ?オーカに似てる…。
とか言ったらエライことになりそうなので、心の奥底にしまっておくことにする。

その後、ユート自身も大きくなって健康になり、万能的な男子に育ったということもいじめられなくなった理由の一つだろう。

それでわかった。オーカ…いやサクラはライバルではなかった。
EIOでやたらベタベタしていたように見えたのは、彼氏彼女の関係ではなくて、姉と弟みたいなものだったのね。

心配する必要もなかったかな。


…。

あ、でも、日本ではいとこ同士って結婚できるんだっけ。
や、やっぱり注意してないと。

この日はそのままオーカさんと一緒に夕飯を食べ…半ば押し切られる形でホテルではなく、オーカさんのお部屋に泊まることになった。

ユートの小さい時の写真を見せてくれるという話に釣られてしまったのもあるのだけど。

…幼児期のユートは鼻血がでそうなほどかわいかった…。
私にもこんな弟がいて、いじめられたら…私も鬼になるね。うん。


オフラインミーティング

翌日、ユートも無事退院することとなった。

退院祝いと私の歓迎会も兼ねて、クラン有志で集まってオフカイ?
よくわからないけど、パーティを開いてくれるとのことで楽しみだ。

オーカさんが企画しているのだけど、私の正体については伏せたままにしておき、サプライズパーティにしてしまうようだ。

みんなに変な反応されたらどうしよう…。

パーティ会場はシンジュク駅の近くのカラオケルームだった。

日本と言えばカラオケというのもあってちょっと興味深いのだけど、それ以上にみんなの視線が私に突き刺さってそれどころじゃなかった。

参加者はおよそ30名くらいだろうか。ゲームの集まりなのに意外に女性が多かった。
オーカさんが仕切っているからだろうか(マスターはユートなのに)

なんでも「エリオット」が来日しているからと、ホッカイドーやオーサカからわざわざ来た人までいるらしい。

「桜華さん、その子だれ?すっごい可愛い…」
と聞くのはクランのある男子。

「エリオット君は?どこにいるんですか?」
と聞くのは同じくクランのある女子。

聞けば外国人の美少年と想像され、ゴツイアバターはそれを隠すためのダミーとか尾ひれまで付いていて、クランの女子メンバーはかなり楽しみにしていたらしい。

こめんよ、みんな。

「ハイ、ではご紹介します。こちらにいる超美少女!この子がエリオット君で~す!」

一瞬の沈黙の後。

「「ええええええええええ!!??」」

男子メンバーからは、
「男の娘?」「いや違うよリアル女子だよ」など物議をかもされ、

女子メンバーには、美少年じゃなかったことにガッカリされたかと思いきや、
「超カワイイ!」「さ、さわっていい…?」「超やわらかーい!」など、

…集団でモミクチャにされました。
みんなオーカに見えてきた。

怖い。

女子メンバーがひとしきり私を堪能すると大人の人たちはお酒を飲みにいったり、カラオケを始めたりそれぞれが楽しみ始めたようだ。

男子メンバーはオーカさんが目を光らせているせいか、私とは一定の距離を保っていた。
「シンシは離れてめでるもの」とか言ってた。よくわからない。

みんなの視線が私から外れ始めたころ、ユートに部屋のベランダへと誘われた。
あの件だろうか。あの時は勢いで言えそうだったのだけど、今はちょっと勇気がないかもしれない。

「あの、さ」
「ウン」

「俺、夢の中でエリスの言葉さえぎっちゃっただろ」
「もう一回言ってくれ、というのは男としてかっこ悪いので、俺から言うよ」

「エッ?ウ、ウン…」
「エリスがさ、本当は女の子だってわかって、うれしいし、正直言うと、その、好みなんだけどね。ただ、どうしてもエリオットのイメージがまだ抜けないんだよね。親友兼弟分みたいに思ってたからさ」 

これ、もしかして、振られちゃうの…?
ちょっと泣きそうなんだけど。

「でもさ、またしばらく会えなくなると思うと、今しか無いとも思った。だから、俺と付き合ってください。」
「…!」
「イイヨ!とてもウレシイ!ワタシ、ユート大好キ!」

とユートに返答したとたん…

パンパパパーン

周囲からクラッカーが鳴り響き…

「ハーイ!初々しいカップルが誕生しました~♪みんなで祝福しましょう~♪」 

物陰からオーカさんがいきなり現れて…いえ、その後ろにはクランのみんなもいる!
え、全部見られてた??超恥ずかしい…。


パーティの翌日。
滞在期間は帰る日を除いて残り2日になったので、この2日間はユートとずっと遊んでいた。

また何かあっても嫌なので、VRはやめておこうということで普通にリアルのテーマパークに行くことにした。

「まあアメリカ人なら飽きるほど行ってるかも?」

とユートには言われたけど、
フロリダもカリフォルニアも結構遠いから、日本の人が思うほどは何度も行っているわけではない。

だから新鮮に楽しめたと思う。

帰る日の前日は今度こそ東京観光になった。
古い史跡的なところにも行ったし、最先端の技術が見られる場所にも行った。
高層ビルでお食事をして…マチョトあったけど、デートらしいデートを満喫した。

そしてとうとうアメリカに帰る日になってしまった。
もうちょっとユートと一緒にいたかったけど、しょうがないよね…。

ナリタ空港にはユートとオーカさんが見送りに来てくれていた。

「エリス、ごめんな。俺があんな事故を起こさなければもっと遊べたのに」
「ウウン。確かに大変だったケド、でもそのあとはずっと楽しかっタ」
「それなら良いんだけどさ」

「ア、 アノネ、ワタシ、大学卒業したラ、こっちの大学院に進もうと思ってるノ」
「そうか!また日本に来るんだな!」
「それまデ、待っててくれル?」
「もちろん」

うれしいな。早く卒業して日本に戻って来ないと。
博士号とってこっちの大学に来て先生になっちゃってもいいよね。

そしたらユートが生徒…アリかも。

「お、おい、なにニヤついてんの?そろそろ行かないと」

あ、ヤバイ。行かないと。

「エリちゃん、今度来たときはおねえちゃんって呼んでね(;_;)」
「ゼ、善処しまス」

オーカさんにはずっと振り回され続けてるけど、たまにそう呼びそうになっている自分に気づいてちょっと怖い。

私も一人っ子だから、ああいうお姉ちゃんがいたら楽しかったのかなぁ?

最初はどうなることかと思った日本旅行だったけど、なんのかんのいって楽しかったな。
ユートやオーカさんだけでなくまたみんなに会いたいし、アメリカに戻ったらすぐEIOにログインしよう。

今度は「エリオット」ではなくて、本当の自分に近い「エリス」として。



































<同日 東京某所>
薄暗い研究室と思われる部屋に2人の男がいる。

一人はスーツを着た中年に差し掛かるかどうかという男。
もう一人は白衣をまとった白髪の老人。いかにも「博士」風の男だった。

部屋のそこかしこにはフラットモニターがならび、どの画面にも人間の脳をCG化したものが表示されている。注目すべきはどの脳のCGにもシリアルナンバーらしき数字が表示され、また、同一のナンバーは存在しないということだろう。

「ドリームキャッチャー《夢を共有するシステム》か」

「いや、あれはもう共有というレベルを超えている。あきらかに介入、改変が可能だ。」

「夢が改変できるということは、どういうことかわかるかね?」
「わからん」 

「人間の意識を改変できると言っても良いのだよ」
「ほう…それは興味深い」

「被験者《ドリーマー》瀬島悠斗」
「夢に介入した唯一の成功者《ダイバー》エリス・ハートフィールド」

「もう一人いるぞ」
「ほう?」

「瀬島桜華だ。エリスと違いシステムを理解しているわけではないようだがね。瀬島悠斗の夢にダイブしたのは間違いない」

「監視タグは付けたかね?」
「ああ、もちろん」

「ドリームキャッチャーも入手したいところだが、運用できる人間がいなければ意味がない。引き続きこの3人については監視を続行してくれたまえ」
「了解した」

中年の男が部屋から出ると、「博士」はタブレットを操作しはじめた。
すると脳のCGを表示していたモニターはすべて消え、部屋は完全な暗闇となった。

闇の中で「博士」の言葉が響く。

「夢は叶えるものではない。これからは夢は支配するものなのだよ」

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<Reality the END>
あとがき



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