SedgeDesign イラストレーターとデザイナー 似ているようで違う2つのシゴト

イラストレーターとデザイナー 似ているようで違う2つのシゴト



デザイン業界から遠い人や、これからデザイン業界を目指す人の中には、イラストレーターとグラフィックデザイナーの違いが分からないと言う人がいると思います。

しかしながら、この2つの職業は本来は別のものです。

これを言うと「え?!」と思う人もいると思いますが、極論を言うと「絵が描けないデザイナー」も居ますし、「デザインが苦手なイラストレーター」も居ます。


セッジです!おはようございます!
今回は、本来は別の職業であるにもかかわらず、何が違うのかがわかりにくい、イラストレーターとデザイナーの違いについてお話したいと思います!

例えば美術学校に入学した場合、
この2つの職業を目指す人達は同じようなことを勉強することがあるのは確かです。
しかし、ある一定のラインを超えるとそれぞれに特化することになります。


イラストレーターとは

私は授業で学生には「イラストレーターとは商業化された画家である」と説明しています。

芸術家としての画家は、自分の内面にある思想・感情などをアウトプットして作品を作ります。

これも極論ですが、その意味では収益になるかどうかは二の次であるとも言えます。
ただ、それでは生きては行けませんので、自分の作品を売ったり、作品を作るために先にスポンサーを募ったり副業を持ったりします(ブログなどもそうですね)。

イラストレーターの場合は「まず依頼ありき」です。

つまり「作りたいものは他者が持っていて、イラストレーターは作成代行をする」存在であると考えています。

そう言ってしまうと文字の清書の絵画版の様にも思えてしまいますが、少し違うのはイラストレーターがクライアントから受け取るのは「情報」だけです。

その情報を解釈して自分のスキルや思想・感情なども盛り込んで視覚化した絵が「イラスト」と呼ばれるものです。

そのためまた極論ですが収益を前提としたモノ作りとなり、芸術家と職人の中間にいる職業と言えます。

従って、イラストレーターが芸術的な画家と同様なスタンスで(他者からの依頼を受けずに)描いた場合はそれは厳密には「イラスト」とは言えないと私は考えています。

デジタルとアナログという違いだけでなく、水彩であるとか、油彩・アクリル・パステル・エアブラシなどなど、画材による画風の違いによってもイラストレーターは特化していきます。

また、依頼された作品を作る上で、絵を描くというスキル以外に知識も必要とします。

描くテーマで言えば、私の友人には天文学者か?というほどに天体に詳しいイラストレーターが居ますし、他にも動物に詳しい人、機械系に詳しい人、植物に詳しい人などが居て、詳しい分野については「この人に任せれば間違いがない」という程です。

ちなみに私の場合は最近健康系の案件が多いので、人体のメカニズムなどに少し詳しくなってきています。


グラフィックデザイナーとは

授業では「グラフィックデザイナーとは、視覚伝達情報(端的に言えば画面)の設計者である」と説明しています。

グラフィックデザインやグラフィックアートの範囲にあるもの、文章、写真、イラスト、マークやロゴなど、視覚から入る情報を素材として紙面・画面の上で組み合わせてデザイン作品を設計・制作するのが仕事です。

本来は画面の設計・制作が主ですがたくさんの種類・分野の素材を扱うので、それぞれに対する広い範囲での知識を必要とします。

しかし、大抵の場合は文章であればライター、写真であればフォトグラファー、イラストはイラストレーター、マークやロゴならロゴデザイナーなど、専門家に割り振って依頼をするケースが多いので、全体の演出と統率・管理を任される場合もあります。

この場合は作業者としてのデザイナーという立場以外にアートディレクターという肩書きを持つこともあります。

もちろん全ての分野に精通し制作できれば、全ての予算を総取りできますので結構儲かると思いますが、そういう超人はなかなか居ません(笑)

また、能力的に可能であったとしても制作期間的に無理という事も多いでしょう。

10数年前まではグラフィックデザイナーといえば、印刷・出版系のデザインをする人の事を指す職業名でした。

しかし、最近は広義な意味で言うと映像系、ウェブ系のデザイナーもグラフィックデザイナーに含んでしまうこともありますし、その全てをこなそうと考えると相当幅広い知識が必要とされるでしょう。

映像デザイナーはデザインスキルの他に映像技術の知識とスキル、ウェブデザイナーは同じくデザインスキルの他にインターネットの知識とスキルが必要とされます。

これまた、全てこなせればかなり広い範囲で仕事が受注でき、非常に強い武器となりますが、こういうタイプの人もなかなか居ないと思われます。

ちなみに、私の場合は印刷系と映像系はそこそこ対応できますが、ウェブ系はコーディングが苦手なので、お仕事としては受注できないレベルです…。

この様にグラフィックデザイナーと言ってもさらに細分化されてきています。

それでも全てのグラフィックデザイナーに共通する中心的な業務は、情報を整理し、視聴者・読者・消費者に判りやすく記憶に残る形で伝達することです。

ザックリいえば「情報伝達における問題点を解決する」ということが仕事なのです。


イラストレーターやデザイナーという職業

学生時代の話ですが、私はグラフィックデザイン科のイラストレーション専攻でした。

卒業を控え、いくつかの会社を訪問しようと思い専門学校の就職課を訪ね、斡旋先を探していた所、就職担当の先生から声をかけられます。

「セッジ君はどの職業として就職したいの?」

「僕はやはりイラスト専攻なので、イラストレーターになりたいです」

と答えると、先生はふっと微笑みながら爆弾を落とします。

「セッジ君…。イラストレーターとしては就職できないよ?」

「!!?」

私の実力その他が足りないと言われているのかと答えに困っていると、

「だって求人票を見てご覧?ほとんど求人無いでしょう?」

とさらなる追撃が。

そうなのです。
言われたとおり求人票を相当数見てみても、イラストレーターでの求人はほとんどありませんでした。

当時はイラストレーターという職業は、ほとんどがフリーランスか自ら会社を興すかくらいしか方法はなく、雇われイラストレーターという存在は非常にレアケースでしたし、もちろん人脈も実績も無い学生には突然フリーになることもできません。

結局、就職はどうしたかと言いますと、学生時代にアルバイトをしていた映像会社でデザイナーを必要としているというお話を頂き、アルバイトから正社員として採用されることになりました。

今にして思えば、その会社に履歴書を提出していなかったのでかなりゆるい会社でしたね…(笑)

私以外にも現在イラストレーターとしてお仕事をされている人の多くは、デザイナーを経験されて来た方が多いです。

グラフィックデザインという仕事はそれだけ幅が広く、極論ではあるもののイラストはグラフィックデザインの一部とも言えるので、グラフィックデザインで仕事の全体的な流れを覚え、人脈を作り、特化していきました。

現在はどうかといいますと、十数年経ち、デザインの学校に講師として戻ったときに驚きました。

学校にはたくさんのイラストレーターの求人が来ていたのです。



イラストの需要は十数年前とは大きく変わっています。

昔よりもいわゆるオタク文化が社会的に認められていることもあります。

トレーディングカード、ソーシャルゲーム、ライトノベル、などなど、イラストがコンテンツそのものに影響を与える度合いが上がっているので、社員として雇って自社コンテンツの制作を担当することが増えています。

就職口がかなり増えたと言うのはイラストレーターとして幸せな事ですね。
ただ、その後ずっと会社に所属し続け、イラストレーターとして最前線に立ち続けられるのかというとちょっと疑問が残ります。

経験年数があがり同時に年齢も上がってきた時に、おそらく会社からは管理職に回ることを要求されると思います。

マネージャーやディレクター、その役割をやれそうな人は良いかもしれません。
しかし、コミュニケーションが苦手だったり、「とにかくイラストを描いてお金にしたい」という人の場合は、会社を辞めることも考える事になるでしょう。

こういった経緯で多くのイラストレーターは独立します。

しかしながらトップイラストレーターならともかく、ほとんどのイラストレーターはイラストだけで食べていくことは難しいと思います。


最後に:イラストレーター兼デザイナーへ

実際私がそうなのですが、イラストレーターが兼業としてやっている職業で一番多いのがグラフィックデザイナーなのです。

私の主観ですが、この2つの職業は兄弟・姉妹の様なものです。

デザイナーからイラストレーターに制作を依頼することが多いですし、
イラストそのものがグラフィックデザインの中の一要素と考えると、デザイナーが兄か姉でイラストレーターが弟か妹と言ったところでしょうか。

イラストレーションの勉強をする過程では、デッサンなどの基礎美術の他に、色彩構成、レイアウト、文字組み、印刷知識…などデザインの領域の勉強もすることになります。

イラストレーターの卵たちは「絵は描きたいけどデザインは苦手」な事も多く、そのへんの勉強を敬遠する子たちもいます。

しかし、デザインを知るということはイラストを取り巻く全体の流れを知ることができる良いチャンスです。

全体を知っていれば、イラストという要素に必要とされるモノが理解出来、イラストレーターとしても、グラフィックデザイナーとの打ち合わせがスムーズになります。

将来的にフリーランスになることも考えるならば、グラフィックデザイナーの知識についても押さえておくことが望ましいでしょう。

美術の世界ではこの2つの職種のように、一般的には区別しにくいものが結構ありますね!
その職種の人はもちろん、多くの人にも知ってほしいと思っています!
では今回はこの辺で!おつかれさまでした!







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