デザイナーになるには? 実は多彩なデザイン職

写真AC

インターネットを散策していたところ、デザイン系の職種に対するお悩みをみかけました。
一般職からデザイン職に転職が可能なのかどうかという悩みのようです。

具体的には以下のようなことでした。

「現在一般職ですが、illustratorやPhotoshopを覚えたらデザイナーになれますか?」

という内容のお悩みです。
ここでよく考えないといけないポイントは、

「ソフトが使えるということと、その職に就けるかどうかというのは別」

「一概にデザイナーと言っても多種多様の職業がある」

ということですね。


illustratorとPhotoshopを使用する職種

上記2つのポイントの一つ目への回答になります。

そもそも、これらのソフトが使う可能性がある職種というのは、実はかなり広い範囲になってしまいます。

それこそ画像解析の研究をしているところや、レントゲン写真をPhotoshopで開き、鮮明にするために修正している医師にお会いしたこともあります。

また、illustratorを書類作成用に使っている一般企業も意外と多くなってきていますし、CC2019でプレゼンテーション機能が追加されたことから、その傾向は強まりそうです。

一般用途だと汎用性が低くなること、使用できる人が少なくなる(仕事を引き継げなくなる)ことからあまりお勧めしませんが、そういう利用をしているのを見たことはあります。

ですが、おそらく今回のような悩みを抱えている方の目標というのは、そういった、

「普段は通常業務があり、特定の時間・期間のみこういうソフトを使う」

ということではなく、

「これらのソフトを使用する時間が長く、制作した成果物が収益となる業種」

ということのはずですから、これらのグラフィックソフトを1日の中で使用している時間が長く、かつ、作成したものに対価が付く職業ということに限っていけば、デザイン系の職種になります。

こういった方向に進みたい方は、デザインというくくりの中にどういう職種があるのかということを知る必要があります。

また、デザイン系の職種に就職しようと考えるならば、必要なのは「ソフトの使い方」だけではありません。ソフトを使用して作成する以前の部分についても学ぶ必要があります。


一般的にデザイン職と考えられているもの

ポイント2つ目への回答ですが、私が知っている範囲の職と、その解釈を独断で列挙してみます。

「デザイナー」で検索すると私が挙げたものよりもさらに細かくわけている場合もありますが、多くなりすぎるので一部統合可能なものはまとめています。

また順番にも特に意味はありません。強いて言うなら視覚に訴えるものは前半、立体系は後半になっているくらいです。

こういうのもあるよ!
という職業もありましたらご指摘いただければ業務内容が被らなければ追加させていただきます。

 ファッションデザイナー 
まず「デザイナー」というと多くの人が思い浮かべるのがこれだと思います。
服飾系(服・靴・バッグなど)のデザインを行う仕事ですね。

 テキスタイルデザイナー 
服や建物の内装などに使用する「テキスタイル(布・織物)」の柄などのデザインをする仕事です。

 グラフィックデザイナー 
平面の素材(写真・イラスト・文字など)を元に、情報を視覚的に構成した画面をデザインする仕事です。「視覚伝達デザイン」とも言われますので、活動範囲は広範囲になります。

 エディトリアルデザイナー 
グラフィックデザイナーが兼ねている場合もありますが、グラフィックが比較的1枚もの(ポスターなど)などを扱うのに対して、雑誌、カタログ、マニュアルなど、長ページものを編集・デザインする仕事です。

 フォントデザイナー 
フォント=書体、つまり文字の字形そのものをデザインする仕事です。
良いフォントが生まれなければ、視覚伝達に関わるジャンルのデザインは良いものが生まれないといっても過言ではありません。

 Webデザイナー 
グラフィック系の資質と、エンジニア的な資質を必要な職業といえるでしょう。
画面という見た目のデザインと、Webサイトの仕組みづくりとしてのコーディングなど、美術思考と論理思考両方が要求される仕事だと考えます。

 イラストレーター 
商業的な活動を行う画家です。
自分の感じたものを表現する画家と違い、クライアントからの要望を聞き、絵として描き出す仕事です。一般的な認識からするとグラフィックデザイナーと混同されることが多いのでここに加えています。

 キャラクターデザイナー 
グラフィックデザイナーやイラストレーターと兼ねている場合もあります。
漫画やアニメ、ゲーム、マスコットなどをデザインする仕事です。
漫画のキャラクターは漫画家さんがデザインするので、漫画家さんがキャラデザイナーでもあるわけですね。

 CGデザイナー 
コンピューターグラフィックデザインを行う仕事です。多くの場合は3DCGを扱うことが多いので、立体・空間的な認識力、造形力も必要になります。アニメーションを制作するスキルを求められることもあります。

 映像デザイナー 
TV・映画・ゲーム・Webなどで流れる映像をデザインする仕事です。
上記CGデザイナーがCGに特化しているのに対して、こちらは映像に特化し2D・3DのCG、実写素材の加工など、幅広いスキルを駆使して映像を制作します。

 ジュエリーデザイナー 
宝石や、貴金属を利用し、宝飾品、装飾品をデザインする仕事です。
設計だけして実制作は職人さんに依頼する場合や、デザイナー自身が職人として制作する場合もあるようです。

 プロダクトデザイナー 
小さなものは文具や日用品、大きなものは自動車や飛行機まで、人が日常で使うモノそのものの形状・材質・機能を理解し、美しさと使いやすさを両立させる、製品のデザインをする仕事です。

 インテリアデザイナー 
各種インテリア=家具やカーテン、照明などのデザインや、室内とインテリア全体の監修・演出をする仕事になります。

 空間デザイナー 
インテリアが室内に特化していることに対し、室内だけでなく、駅や公園など広い空間の演出とデザインをする仕事です。

ぱくたそ



デザイナーとグラフィックソフト

「ソフトが使えるということと、その職に就けるかどうかというのは別」というポイントに戻ります。

コンピューターとグラフィックソフトを使用する可能性という点では、前述した職種は全て当てはまると考えてもよいのですが、

その中でも最終的な成果物が「画面や紙面で見るもの」であり、「illustratorやPhotoshopを使用したもの」ということでしたら、グラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、フォントデザイナー、Webデザイナー、イラストレーター、キャラクターデザイナー、CGデザイナー、映像デザイナーがそれにあたるでしょう。

視覚伝達系のデザイン分野ですね。
すなわち、画面や紙面で見ることができるものが製品であるということです。

ファッションデザイナー、テキスタイルデザイナー、ジュエリーデザイナー、プロダクトデザイナー、インテリアデザイナー、空間デザイナーは、これらのソフトを使うことはあってもこれらは過程でしかありません。

最終的な製品は物理的な物体として存在するモノになります。服、布、宝飾品、文具や自動車、家具や、公園などですね。

私がお話できるのは視覚伝達系のデザイン分野になります。
ですが、どのデザイン分野にも必ず共通することがあります。

それが「美術的な素養」です。
イラストレーターを除けば、必ずしも絵が上手く描けなくてはならないというわけでもありません。

以前の記事でも書きましたが、絵が苦手なデザイナーもいます。



デザイナーと美術

イラストレーターは前述したように、「商業化した画家」です。
絵が描けなければそもそも仕事になりませんので、絵を描くスキルは必須ですね。

デザイナーは「設計者」であるので、さまざまな要素を組み合わせて、画面なり形なりを設計していく仕事になります。

絵が描けたほうが良いのはもちろんです。
自分自身が「製品としての絵」が描けなかったり、イメージを立体化するにあたっては、そのイメージをイラストレーターや職人に伝えなければ、作り手が困ってしまいますし、クライアントも途中経過がわからなければ何が出来上がってくるのかわからないので、困ってしまいます。

その意味では、「最低限それが何かわかる程度のラフ」くらいは描ける方が良いのは確かですね。

打ち合わせの席で即興で大ざっぱなラフを描いてイメージを確認しあう、というのはデザイナーの仕事としてはよく目にする光景です。

ただ、デザイナーとしての本筋としては、グラフィック系ならば、
「情報を整理し、見る人に判りやすい形で伝達すること」

プロダクト系であれば、
「形状や材質を理解し、美しさと使いやすさを作り出す」
ということですから、ここをまず押さえておく必要があるかと思います。

ではこういったスキルを身につけるにはどうしたら良いかというと、
若くて学校に通える資金と時間がある方ならば、美術系の大学か専門学校に行くのが良いと思います。


美術を学ぶには

美術大学に入学するためには、そもそも美術基礎はできていることを求められます。
こちらは当ブログの「高校受験」記事に書いている内容をもっと高度にしたものと考えていただくと良いでしょう。


したがって、美術の基礎がわかっているという前提でより高度な実技実習があり、さらに美術理論やデザイン理論、情報理論を学んでいく、というのが美術大学で学ぶことですね。

対して専門学校は桑沢デザイン研究所を除き試験がありませんので、美術素養についても特に求められません。
※桑沢デザインは東京造形大学の母体にもなった学校であり、美術系専門学校の中では最高峰と言える学校。そのため入学試験がある。

そのため、入学してから基礎美術実習などがあり、デッサン、色彩・平面構成、科によっては立体構成などを行いながら、短いながらもデザイン理論などを学んでいく形になります。

また、どの専門学校でも言えることですが、「入学した学生が全員就職できること」を目指しています。

「デザインの仕事をする上での最低限(以上)のスキル」を習得させるのもカリキュラムの一つです。

デザインにおいて、コンピューターというものはかなり重要なスキルとなっていますので、どの学校も基礎実習+理論+コンピューター技術というのは必須科目になっています。

写真AC

さて、Photoshopやillustratorの操作のみを教える教室についてはどうかと言いますと、もともと美術系の素養があり、デザインについても理解がある方なら良いと思うのですが、そうでない方にはあまりおすすめできません。

なぜならば、デザインの仕事においてコンピューターを含む道具というものは出口の部分であるため、入口である美術的な設計・構成といったことが重要だからです。

入り口がしっかりしていなければ当然出口も…となってしまいますよね。

最近ではこういったソフトの教室でも、こういった対策として美術基礎の特別講座を用意しているところも見かけるようになってきましたので、大学や専門学校に通う時間も資金もないということなら、そういった教室を選ぶと良いでしょう。

学校も教室にも通う時間も資金もない!

と言われてしまうと答えられることがなくなってしまいますが、無理やりひねり出すならば、「未経験でも雇ってくれるところを探す」しかないでしょう。

実践で覚えて行く方法ですが、今はどのデザイン会社も余裕がないので非常に厳しい道だとは思いますが…。


まとめ

今回の記事は、「一般職からデザイン職への転職」を否定するものではありません。

自分自身に関係のなかった業種の事は外からは見えにくいものです。

その意味で求人などを見ていると大抵のデザイン系求人は「Photoshopやillustratorが業務レベルで使用できること」といった文言がありますので、そこから導きだされるのは「Photoshopやillustratorが覚えられれば仕事があるのではないか」ということですよね。

ですが、デザインと関係ない業種も、道具の使い方を覚えたからといって仕事になるものでは無いのは同じだと思います。

道具の使い方は大事だけれども入り口の部分にも、かなり重要なものがあるということを知り、そこを学んだ上で就職に望めば可能性は高くなっていくと思います。

最後に、未経験なのにデザイン業界に飛び込んだ実例の方がいらっしゃいますのでお一人紹介いたします。

北村崇さんというデザイナーです。
この方は美術学校での勉強の経験はなく、独学で知識やスキルを身に付け就職された経歴をお持ちです。

この北村さんが書かれた本についてレビューした記事が以下のものになります。
ご本人がゼロから身につけたこともあり、非常に説得力のある本となっています。

こちらもよろしければご覧ください。



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