アートとデザイン 現場で感じた両者の違い

アートとデザイン 現場で感じた両者の違い

あなたはアートとデザインの違いについて、どのように認識されているでしょうか。

先日、生徒たちと過去のエピソードを交えてこの2つのことについて話していました。

Twitterで似た話題が出たこともあり私の個人的な考察になりますが、アートとデザインについてまとめてみます。

捉え方は人それぞれのモノでもありますので、異論はあるかもしれません。
しかし、あくまでも私の個人的な考察ということでご容赦ください。

ということで、おはようございます!
デザイン講師ブロガーのセッジです!
生徒たちに話していたのは以下の会社員時代のエピソードでした!

【この記事は2022年6月24日に更新されました】

アートか?デザインか?

映像とデザインの制作会社アライブ(仮)。
本来は企業向けの映像制作を行う会社でした。

しかし、クライアント企業の要望によりビデオ制作だけでなく、いつしかパンフレットやDVDジャケットなどのデザイン制作も請け負うことになります。

ただ、もともとが映像制作の会社だったこともあり、デザイン部を作ったといってもその構成員はセッジと後輩トラノちゃんのみ。

この2人だけのデザイン部で日々頑張っていました。
そんなある日クライアントから請け負ったパンフレットの配色について議論になります。

トラノちゃんさ、このパンフレットの色なんだけど。

ン?なんか変ですか?

いや、これってさ新人研修用のパンフレットだよね。
新人ってことで「若さ」のイメージを求められてるのだけど、キーカラーが茶色っていうのはどうなんだろ?
私は「若さ」というイメージでその色を選びましたよ

もともとトラノちゃんはアート思考が強く、セッジとは意見が対立することが多少ありました。

いつもなら経験の差でトラノちゃんが折れることが多かったのですが、今回はトラノちゃんがメインで請けた案件だったため、いつもより強く対立することになったのです。

それ、一般的にみてそう思われるのかな?

一般…。私がそれが良いと思ってる、ではダメですか?

ダメかもね。デザインはアートじゃないから、一般的にみてどうイメージされるかということを考えないと。
いえ先輩。私はデザインもアートだと思いますよ!

うーん…。それをクライアントに何と説明するの?
茶色だと一般的にいえば成熟したイメージにならない?
むぅ…。

ボクはデザインの仕事って、誰かがの欲しいものを満たしてあげることだと思う。
デザイナーが自己表現を優先しすぎたとしたら、それは誰かが欲しいものにならない可能性があるよ。

この辺り、美術分野の中でもデザインが特殊なのかもしれません。

その後もともと自分の中でのデザインについて疑問を持っていたトラノちゃんはアライブを去り、アーティストへの道を進んでいきます。

アートとは創造であり表現である

アート=芸術とはなんでしょうか?
本質的には表現であり、新しい何かを創造することでもあるでしょう。

アートの語源はラテン語のArs
自然に対する人間の「技術」「才能」を意味します。

アーティストの内面にあるものをアウトプットする。
あるいは、日常の中で感じたことを自身の中で解釈して、作品として表現することです。

この場合はクライアントも作り手も自分自身です。 場合によっては鑑賞者すらも自分自身かもしれません。

あくまでも作りたいものは自分の中にあり、それをもとに生み出したものが作品なのです。
乱暴な意見かもしれませんが、アートにはルールがありません。

そのため、誰かにやすらぎを与えるような美しい作品もありますが、場合によっては誰かを傷つける可能性のある作品が生み出されることもあります。

また作った作品に実用性があるかどうかも関係がありません。

たとえば「座れない椅子」という椅子=座るためのものと言う本来の目的をはたせない作品が生まれることもあるわけです。

こういったことから、アートとは自己を掘り下げていくモノといえるでしょう。

ハーバリウム

デザインとは設計であり解決である

デザインとはなんでしょうか。
私が定義について考えたところ、思考ループにはまってしまったコトがあります(笑)

なぜならば、多くの人はデザインというものはアート(美術・芸術)という大きな枠の中の1つのジャンルだと認識していることが多いからです。

しかし、美術の1つのジャンルとして捉えてしまうと、ライフデザインやシステムデザインなどのように、説明ができなくなってしまうことがあります。

デザインの語源はラテン語のDesignare
「計画を記号で示す」という意味になります。

現代の言葉の意味として調べれば、

「建築・製品・服飾・商業美術などにおいて実用的になるように考慮して設計すること」

という説明が出てきます。

ライフデザインなどのような「視覚的には形を持たないモノ」を含んだ場合なら、言葉の意味通り「実用的になるように考慮して設計すること」が答えになると思います。

いや…まだわかりにくいですよね…。
最近私も知った言葉がありますので、こちらで説明してみます。

「デザインとは考えを形にしたモノである」

これならどうでしょうか?

考え・思考というモノは「それを考えた人」にしかわかりません。
それを誰かに伝えようと思ったら、言葉にする・絵にする…といった行為をしますよね?

極端なたとえをすれば、

うちの家に郵便物がなかなか届かないのよね

という悩みを持つ人がいたとします。

では、ポストのすぐそばに目立つ表札を作りましょう

これにより一つ問題が解決して、郵便物が届きやすくなりますよね?

すごく単純なことを言っているかもしれませんが、本来の目的が機能するようになるため、
これもデザインと言えるのです。

アートとの違いは、そこに必ず「他者」が存在するということでしょうか。

クライアントが存在しない場合でも「使用者」という存在がいますので、その人たちのことを考える必要性があります。

本来は寄り添う2つのジャンル

今回はデザインとアートの違いについてエピソードを交えて書いてみました。

トラノちゃんには性格としてのモデルとなる人がいます。

ですが、セッジはデザイナーを抽象化した存在、トラノちゃんはアーティストを抽象化した存在ということで、一つのフィクションとして捉えていただければ幸いです。

若かった私はアーティストであるトラノちゃんと対立してしまいました。
本質的には真逆なので、今回の記事でも対立が深まるようなことを書いています。

しかし、この2つのジャンルは美術分野であれば寄り添うものです。

デザインとアート

デザインで問題点を見出して解決する、ということは思考性そのものですが、目に見える形を作り出すには表現としてのアート性が必要になるからです。

そしてアートには問題を提議することも含まれますね。
それは社会に対してだったり、環境に対してだったり、様々なものに対して訴えていくことがあるでしょう。

その時に必要なのがデザイン思考の中の問題点を見出すことです。

ライフデザイン、システムデザインのような概念的なものを別にして、モノとして存在するものを作り出す場合はデザインとアート両方が必要になるのでしょう。

デザインという考え方と、アートというセンスの両方が持てれば最強ですね。

そういう両方の能力を持った場合には、デザインの時は問題解決を、アートの時は自己表現を、それぞれの状況に応じて思考性のスイッチができるようになると良いでしょうね。

ボクもなかなかスイッチできないことでもあります。
でも、うまく立ち回れるようになりたいとは願っています!
それでは今回はこの辺で!最後までご覧いただきありがとうございました!




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