クラウドソーシングとイラストの価格の話2

デジタル

NHKで放送された、ココナラというクラウドソーシングサイトのイラストの単価の話、「30000円のものが2500円でコストダウンになった」という話題の続きです。
この情報がテレビで放送され、イラストを仕事としている人はどう感じたかということが今回のテーマです。

おはようございます!
ピカソのエピソードが今回の件の要点を突いている気がします。

前回の記事はこちら


”いや、40年と30秒かかっているんだよ”

絵の価値についての本質的なものはピカソのエピソードが的を得ていると思います。
ピカソが食事をしていると、
「お礼はちゃんとするから何か描いてほしい」
とファンの女性がレストランのナプキンを差し出した。
ピカソは絵をサッと描き上げ、女性に1万ドルを請求した。
「描くのに30秒もかかっていないのに!?」
と女性は驚き尋ねると、ピカソはこう答えた。

「いや、40年と30秒かかっているんだよ。」
このエピソードを調べてみると女性がウェイターだったり、食事ではなく町を歩いていたとか、40年が30年だったり、諸説あるので真偽は不明です。

このエピソードを引用して言いたいことは、絵の単価というものは、
実際の作業時間+道具(画材または機材)のコスト+経験(練習や取材含む)
によって発生するものだと言うことです。

デジタル技術の発達によりいろいろなことが安くできるようになっているのだから、イラストの単価が下がっていくのも当然ではないかという意見もあります。

うなずける部分もありますが、そこで「いろいろなモノが安くできるようになったのはなぜか」ということを考えてみて欲しいのです。

答えは「自動化と効率化」です。

自動的に処理できるということは工程が省略されて効率化されます。
いくつか工程が無くなった事によってかかるはずだった人件費や機材費がかからなくなり、コストは安くなります。

デジタルイラストの場合はどうでしょうか?
アナログと違うのは絵の具+用紙代がかからないということ、絵の具を乾かす時間がいらないということは効率化された部分です。

それ以外の工程だと、絵の作業の本来の部分「人間が道具を使って絵を描く」ことはなんら自動化されていません。ほとんどコストダウンになっていないのです。


イラストの価格はどう決まるのか

上で書いたように本来であれば、実際の作業時間+道具のコスト+経験=絵の単価です。

それを一旦置いておいたとして、時給換算で考えてみましょう。例としてはフライヤーに載せるカットイラストの制作です。

受注者は作業が速い人で、かつ発注者もレスポンスが良く、修正なしと仮定します。

発注者との打ち合わせ→ラフ制作→フィードバック→本制作→検収→納品

こんな感じでしょうか。これを時間で割ってみます。

打ち合わせ=1時間、ラフ制作=1時間、フィードバック=1日、本制作=2時間

フィードバックは何もタッチできない時間ですので、フィードバックの受け答えで1時間と考えておきます。
検収以降は修正がなければ手を離れますのでそれも入れません。

そうすると5時間です。
いま東京でのアルバイトの平均時給が1000円超ということですから、最低でも5000円ですね。

2500円というと時給500円になってしまうわけで、少なくとも特殊技能を使って作業する人はこの平均時給よりも下回ってはいけないと思います。
※アルバイトをバカにしているわけではありません。
 アルバイトも特殊技能・資格を必要とするものなら高い時給になるはずです。

また、そこにこれまでの経験でつちかってきたスキルが加味されるわけです。
そのため以前頼んだ人は3万円だったという価格は高いとは言えないと思います。

以前一般誌やPC雑誌でイラストを担当していたときは、100mm四方のモノクロイラストで5000円くらい、カラーイラストで5000~10000円くらい。

A4の1P相当のイラストで7~10万円、見開きだと15万円までが規定だと編集部から言われていました。

これはデザイン・イラスト業界全体でみると高い方ではありません。

雑誌は元々予算が限られているのでこのくらいですが、広告やPRに使用される場合は予算がもっと出ることもあり、A4の見開きで30万円くらい頂いたこともあります。


クラウドソーシングのあり方

前回のレストランと牛丼のたとえと逆の話になります。
価値の高い絵を描ける人はたくさんいると思いますが、そういう人が安さを求めている場所に来て「自分は10倍の価値があるものが提供できる。だから10倍の金額にしてほしい」といっても却下されるだけです。

そういう意味では安い案件の発注しかない、そしてそれを請けても良いと考える人しか残らない、そういう場所になってしまうはずです。

ココナラは最低単価500円~で告知しているので、そういった価格を求める人が集まってくると思います。
ココナラのビジネスモデルとしてはそれで良いのかもしれません。

他のクラウドソーシングはどうでしょうか?

安い単価ばかりの案件では利益が出にくいと思います。
高い単価の案件の発注が発生したとしても、上記のように安い案件ばかりに辟易として撤退する人が増えていってしまうと、受注できる人がいない。

受注できる人がいないのであれば、発注する意味もない、ということで高単価を発注する可能性のある発注者も撤退してしまうことになると思います。

クラウドソーシングの本来の役割は、単価を安くするということではないと思います。
  • 会社に所属しなくても仕事ができるようにしたい
  • イラストを描けるけど発注元がなかなか見つからない
  • 業種が違いすぎてイラストを頼みたくてもどこに頼んだら良いのかわからない
イラストを例に挙げましたが、これはいろいろな業種・成果物に当てはまるでしょう。
こういったことを、ネットワーク技術を使って解決するのが主目的ではないでしょうか。

先日、こういう注文がきました。
「歌っている曲に合わせて動画を付けてほしい」
というものでした。

例に漏れず低単価の案件なのですが、曲を聞くと著名な歌手の曲を関係ない人が歌っているという内容でした。

報酬の事は置いておくとしても、これに動画をつけて作品を作ったら動画制作者も揉め事に巻き込まれてしまう可能性があります。

ネットワーク技術によっていろいろ敷居が低くなるのは良いことですが、無法地帯になってしまうのは遠慮します。


まとめ

ということで、あさイチとココナラを発端として一つの話題になっている案件でした。
ある意味ではイラストの価格がどう成り立っているのかというのを知ってもらうチャンスでもあるのかもしれません。

この記事を読んでいただいたあなたが、クラウドソーシングを利用してお仕事を発注しようと考えているとします。

その場合、イラストが作成される工程をまず考えていただき、その上で料金を決め、できればイラストレーターと金額を相談していただくことを切に願います。

では今回はこの辺で。
おつかれさまでした!


ランキング応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 デザインブログへ

[Sponcer Link]


コメント