大人がハマるSFドラマの要素とは? はじめてのスタートレック


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前回までのスタートレックは・・・
じゃなくて(´∀`;)

前回の記事はスタートレックのTVドラマについて発表年順に紹介した記事でした。
今回はもう少し「なぜトレッキーと呼ばれるほどスタートレックにハマル人がいるのか」ということについて掘り下げてみたいと考えています。

日本ではスターウォーズに圧倒的な知名度があり、イマイチ知名度が低いスタートレックですが、アメリカではとても愛されているSFドラマです。

「SFでオブラートした人間ドラマ」

このようなコンセプトのため、どうしても地味なところが多いですが、じっくり見ていくと本当に大人向けだということがわかります。



おはようございます!セッジです! 今回もまたまた趣味に走った記事です!
熱心なスタトレファンのことをトレッキーと言いますが、なぜそこまでハマっちゃう人がいるのか、それについて考えてみました!


そもそもスタートレックとは?

アメリカの映画プロデューサー、ジーン・ロッテンベリーにより生み出されたSFドラマ、それが「スタートレック・シリーズ」です。

アメリカの友人からはスタートレックはスターウォーズと人気を二分するSFシリーズだと聞いています。

この2つの作品の違いについて考察しますと、スターウォーズはSFに属しつつもファンタジー要素が強い印象の作品となっています。

それに対し、スタートレックは「科学性」と「人間ドラマ」としての側面を強くうち出した作品シリーズです。

この世界では優性戦争、第三次世界大戦という悲惨な歴史はあるものの、それを乗り越え人権問題や格差などが無くなった人類の理想としての未来として描かれています。

しかし、地球人同士での争いは無くなりましたが、人類が宇宙に出たことにより今度は異星人との歴史・文化・種族としての特性の違いからトラブルが起きていくことになります。

TOSが放送されていた当時も現代も、現実の地球ではこの「違いから生じるトラブル」というものは解決されていません。

しかし、この問題を「現代劇」として描こうとすると、必ず反発にあい、制作するのは難しくなってしまいます。

そこでこのような直接的には表現できなかった「アメリカや世界の問題」をSFでオブラートした風刺作品と実は言われているのです。

また、アメリカ人にとって「エンタープライズ」という艦名は非常に強い意味をもちます。

古くはアメリカ独立戦争時代の軍艦にさかのぼり、それが現代では空母となり、それが未来の架空世界では宇宙戦艦に受け継がれます。

そしてスタートレックの人気から、現実への逆輸入的にスペースシャトルにもこの名前が付けられるよう懇願されたという逸話まであります。

またNASAが構想した「理論上のワープドライブ搭載型宇宙船」というコンセプトデザインのみの宇宙船がありますが、その名前も「IXS エンタープライズ」といいます。

こういったことからも、アメリカの人々がスタートレックという作品をとても愛しているということを感じ取れるでしょう。

科学好きならハマる!ワープと転送とは?

スタートレックといえば「ワープと転送」という架空の科学技術が特徴的です。

日本ではワープといえば宇宙戦艦ヤマトを思い浮かべますが、スタートレックの方が先に生み出したものです。

実は異なるヤマトとスタートレックの「ワープ」

おおざっぱに言えばワープとは「超光速航行」という概念ですね。
宇宙戦艦ヤマトでは空間を歪めて飛び越えることで移動距離を縮めるという方法です。

スタートレックでは純粋に加速していった先にあるものですが、そうすると相対性理論の「全ての物質は光速を超えることができない」という壁にあたってしまいます。

その理由を調べたところ「光速に近づけば近づくほど質量が増し、速度が上がりにくくなる」とのことでした。

スタートレックに登場する宇宙船の通常エンジン(インパルスドライブ)は光速の25%という設定がなされています。

しかしこれでは「星々をめぐる物語」である以上、全然お話が進みませんよね?
そこで演出としてワープという概念を生み出したのです。

スタートレックでは上に書いた法則を無視する亜空間=ワープフィールドを作り出すことによって「光速を超えた速度」を実現したという設定です。

ワープ技術がシステム化され、マッハと同じようにワープにも段階的な数字があり、その数字が大きいほど速度が速くなります。

ちなみに作品中での最高速度はエンタープライズEやヴォイジャーのワープ9.9です。
ワープ10になると「あらゆる場所に同時に存在する無限大の速度」となり、技術的に実現不可能とされています。

エンタープライズE:Amazon
ワープ9.9を誇るエンタープライズE


想像するとちょっと怖い「転送装置」

もう一つの特徴が「転送装置」です。
スタートレックを見ているとほぼ毎回転送が使われていることがわかります。

エンタープライズをはじめとする宇宙戦艦ですが、その任務は戦闘だけではなく「惑星探査」も含まれます。

惑星探査をするとなれば、エンタープライズから惑星に上陸するという表現が必要になるのですが、これはTOSの頃、映像技術と予算の問題があり、毎回エンタープライズやシャトルを惑星に着陸させるということはできなかったそうです。

しかしストーリー上、乗組員は惑星や別の船に送り込まなければならない。
そこでその「人間しか送り込めない」ということを逆手にとり、演出として昇華したものが「転送」だったと言われてます。

一見この転送というものは「小さなワープ」とも思われるかもしれませんが、実は技術的には別のモノです。

ワープは前述のとおり、宇宙船をワープフィールドで包み込んで物理法則を無視することで加速するという技術ですが、

転送は、「転送する対象を一度分子レベルに分解し、目的地で再構成する」
というちょっと怖い技術なのです(笑)

そのため、スタートレックの歴史の中で最も古い「エンタープライズ」では、まだ転送技術は無機物のみに限られ、生命体の転送については躊躇していたという状態でした。

その後、ジョナサン・アーチャーが危機的状況に陥ったとき、失敗する危険性を押して敵船からの救出目的で転送を行います。

結果は大成功。
その後は徐々に多くの人々が転送という移動手段を使うようになっていくのです。
ジョナサン・アーチャーとは 22世紀の地球連合宇宙艦隊士官で階級は大佐。
エンタープライズNX01の船長。ズィンディの地球破壊計画を阻止した英雄。
数々の異星人とファーストコンタクトを果たし、惑星連邦設立の功労者といわれ、惑星連邦設立後は初代大統領も務めた。
もちろん良いことばかりではありません。
そもそもが一度分子レベルまで分解し再構成するので、

「分解された生命体は一度死んでいるのではないか」
「再構成された生命体はクローンなのではないか」

ということがこの世界では議論になっているそうです。
TNGの登場人物、ウィリアム・T・ライカ―からは転送機の事故で、肉体・記憶・思考が全く同じ存在の「トーマス・ライカ―」が生まれてしまっています。
ウィリアム・T・ライカ―とは 24世紀の惑星連邦宇宙艦隊士官で階級は中佐。
USSエンタープライズDで15年間副長を務めたのち、大佐に昇進してUSSタイタン艦長となる。ピカードとは対照的な熱血漢だが、人間としても艦長としてもピカードをとても尊敬している。
本来は演出として生まれたモノですが、それによって生じる良い面悪い面両方がその後も描かれるというところがスタートレックのとても深い部分なのです。


実はすべてつながる並行世界

実はスタートレック世界では3つの並行世界が確認されています。

一つは本来の歴史である、プライム・タイムライン
もう一つはSTX後の事件により生み出されたリブート世界、ケルヴィン・タイムライン

そしてもう一つが「もし第二次世界大戦でドイツが勝利していたら」という設定の元に生み出された鏡像世界(ミラーユニバース)があります。

プライムとケルヴィン、理想的な人類の姿

まずプライムとケルヴィンについては途中までは同じ歴史を歩んでいますので、カーク船長が活躍する年代までは同じものと考えます。

この世界では20世紀に遺伝子操作で生み出された優性人類(通常の人類の5倍の能力を持つ)が、カーン・ノエニン・シンをリーダーとして世界征服をたくらみ、既存の人類との間で「優性戦争」を引き起こします。

この優性戦争は既存人類が勝利し、カーンら優性人類は冷凍睡眠処置の上地球を脱出します。

その後23世紀に復活し、惑星連邦に危機的状況を引き起こしますが、それを描いているのがTOSでは「宇宙の帝王」と映画「カーンの逆襲」。

リブート版では「イン・トゥ・ダークネス」にあたります。

このようにプライム世界での既存人類は「優性思想」を良しとしなかったのです。

また、21世紀にはアメリカ合衆国とECON(イースタン・コアリション)が、第三次世界大戦を引き起こします。

この戦争では大規模な核攻撃が行われ、多くの都市が破壊されたため死者は6億人にのぼり、地球は事実上の無政府状態となってしまいます。

これにより、地球人類は全てを諦めゆっくりとした滅亡へと向かっているかのようでしたが、ただ一人諦めていない人物がいました。

それがゼフラム・コクレーンです。
コクレーンは「地球人類で初めてワープ技術を発明し、バルカン人とのファーストコンタクトを実現させた歴史上の偉人」として作中でたびたび紹介されます。

バルカンは以前から地球に知的生命体がいることは確認していましたが、科学的にまだ未発達だったために干渉しないでいました。
ところがコクレーンが発明したワープドライブからワープ波を確認したため接触してきたのです。(このことは後の艦隊の誓いにもつながります)

コクレーンはバルカンと友人になることを選択します。
バルカンの技術を奪うのではなく、友人として敬意をもって交流していくことを選んだのです。

※このように歴史上ではコクレーンは偉人として描かれていますが、映画「ファーストコンタクト」では最初はすべてを諦め飲んだくれていました。
しかし、ピカードやライカ―を始めとするエンタープライズクルーの激励により、本来の歴史「偉人としてのコクレーン」にどんどん近づいていきます。

しかし、ミラーユニバースでは…。

地球が宇宙最悪の敵、テラン帝国に?!

ミラーユニバースでは第二次世界大戦でドイツが勝利してしまいます。

本来の歴史ではアメリカを始めとする連合国が勝利していますが、おそらく本当にドイツが恐ろしかったのでしょうね。
それがあって、こういう架空の歴史も考えてしまうのでしょう。

この世界では地球全体が一つの帝国となっています。
その名も、テラン帝国といいます。

歴史が違うだけで、プライムとおなじ人々が登場します。
ただし、テラン帝国自体が「悪の帝国」なので、本来なら善人として描かれていた人も悪人になってしまっています。

もっとも大きな歴史の違いは、コクレーンです。
この世界でもやはりコクレーンがワープ技術を発明し、そのワープ波を感知したバルカン人が接触を求め…というところまでは一緒です。

しかし、この世界のコクレーンは、バルカン人を打ち倒してバルカン船を奪い、その技術を元にテラン帝国として宇宙に乗り出してしまいます。

このテラン帝国は凶悪かつ最強の星間国家になってしまい、バルカンはもちろん、戦闘種族として有名なクリンゴンですら、太刀打ちできなくなります。

結果、テラン帝国はどんどん銀河の支配領域を広げ、なすすべをなくしたバルカンやクリンゴンは本来であればあり得ない同盟を結ぶまでに追い込まれるのです。

敵の技術が進んでいれば倒して奪い、反抗してくれば叩き潰す。
大元が第二次世界大戦時のドイツですから、優性思想そのものです。

それに対してプライム世界は奪うのではなく、地球とバルカン、アンドリアを中心として「惑星連邦」が発足し、自らを高めることにより相手に近づく、あるいは超えることを目指しているのです。

惑星連邦宇宙艦隊の士官が原則にしている「艦隊の誓い」というものがあります。
  • ワープドライブ技術が未発明の文明に対しては、正常な文明の発展を妨げるいかなる干渉をもしてはならない。
  • 自衛目的以外で武力行使をしてはならない。
  • 他文明への内政干渉・入植をしてはならない。
これらは艦隊規則の一般命令第1条ですが「未来の理想の人類像」を物語ったものあると言えるでしょう。


ジーン・ロッテンベリーが描いた理想の世界

実はスタートレックは50周年を超えた長寿シリーズとなっています。

何度か書かせていただいたように、この作品は1960年代当時はいろいろ圧力があり直接的には描けなかった「アメリカや世界が抱える問題」にSFというオブラートをかけることで表現した「人間ドラマ」です。

同じ宇宙モノということで、スターウォーズと比較されることが多いこの作品ですが、実は根本的に違うことがあります。

スターウォーズはSFで味付けをした騎士物語ですが、
スタートレックはSFでオブラートした人間ドラマ、というだけでなく、科学考察したドラマでもあるのです。

サイエンスフィクションというジャンルではありますが、スターウォーズはフォースという魔法とも言えるものが問題を解決するカギとなっていることに対して、

それに対して、スタートレックは「成熟した人間たちが持てる力を結集して問題を解決する」というのがコンセプトです。
これが原作者のジーン・ロッテンベリーが未来の地球人類に夢見た世界なのです。

さて、もしあなたがスタートレックに対して興味をお持ちなったとしたら、オススメなのはNetflixです。

現在確認した中では、スタートレックTVシリーズ全作が基本料金のみで見放題です。

原点から楽しむならTOS(スタートレック:宇宙大作戦)、スタトレ世界の歴史を最初から楽しむならENT(スタートレック:エンタープライズ)。

そしてとにかく最新作が見たいならDSC(スタートレック:ディスカバリー)。
特にDSCに関しては日本では今のところNetflix独占ですので、この機会にぜひ!


Google Play で手に入れよう

それでは今回はこのへんで!
今回も最後までご覧いただきありがとうございます!
ボクと一緒にスタトレにドハマりしてみませんか!


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